側に居ない君は。
「あ、真子アンタ静紅〈しずく〉くん起こして来なさいよ」
「…なんで」
「なんでって、アンタお姉ちゃんでしょ?」
「そんなの、あたしも向こうも思ってない」
「真子!!!」
「……起こさないから」
真子、と叫ぶ母さんを無視して自室に戻る。
…なんであたしがわざわざ起こす必要があるのよ。
起きないのならそのまま寝かせばいいじゃない。
どうせ苦しむのは自分なんだから。
バタン、
少し荒めにドアを閉めてスウェットを脱ぎ捨てる。
寝るときには付けていないブラを付けて、キャミを着て壁に掛けてある制服を羽織る。
髪は着替える前にセットしておいたコテで緩く巻き、前髪は少しふっくらめでアップにして完成。
スカートは学校で浮かない程度に切った長さのものを二回巻いて…
「…よし、」
準備ができたあたしは歯を磨きに行ってからグロスを塗り鞄を肩にかけ、やっと家をでる。
「…ちょっと遅刻か?」
いつも全くと言っていいほどメイクをしないあたしはケータイを開いてそう呟く。
…え、それよりも問題がなにかって?
んー、まぁもう少ししたらわかるよ。
あたしが、学校に着いたら。