側に居ない君は。




図書室に入ってきた男女は、あたしがいるとは思っていないからか、ピッタリと密着して話す。


…まぁ、男の方はきっとあたしがここに居ること知ってそうだけど。



ていうか、女の方しかさっきから喋ってないしひっついてるのも女の子だけ。



あそこまで冷められたら、普通は萎えると思うんだけど。



…普通じゃないってことでいいか。




「ねぇ雪く…」

「邪魔だ、どけ」

「っ、雪くん!!」

「消えろ」

「!!!」




反応を返さない男に少し焦ったのかシャツに手をかけようとした女の子の手を男は苛立った様子で掴み、睨みを効かせた。


効果は勿論抜群で、一回目はしぶとく留まろうとしたけど二回目は涙目で走り去っていった。



…はぁ、




「…はぁ」




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