もう一度、最初から
「…いらっしゃい」

「朱里さん、起きてて大丈夫なんですか?」

「いや、あたし、病気じゃないし……」

「まあ、そうですけど」

「………………」

あたしの無言を、体調不良と取ったのか、エノキが後ろへ下がる。

「また、改めてでも…」

「いやいや、どーぞ」

「じゃあ……」

やっと部屋の中へ入る。

あたしが無言になったのは、緊張、とかではなく。

がっちりバッチリ仕事モードの、エノキの格好に、がっかりしたから。

見た目がダサいのは、勿論なんだけど。

中身も頼れるし、優しいって気がついて、きゅんと来た今、見た目から受けるダメージは少ない。

ほんの少し、エノキが『コンビニの店長』じゃなくて、プライベートモードで来ることを期待していたから。
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