もう一度、最初から
夏っぽい明るいベージュに買い換えたラグマットの上に、小さいテーブルを挟んで向かい合わせに座る。

……どうしよう。

でも、うだうだしても仕方ないから、とっとと本題を出そう。

「あの、実はね」

「はい」

「……あたし、お店を辞めようと、思って」

「……」

「申し訳ないとは、思うんだけど。あ、誰か代わりが見つかるまでは出るし」

「……」

「…エノキ?」

「やっぱり、あの事件、トラウマになりますよね?」

「いや、そーゆー……」

「僕が、店長としての仕事も果たさず、朱里さんを一人きりにさせてしまったせいで」

「いや、そんなんじゃ……」

「ごめんなさい!」

「謝らないでいいし、て言うか店長モードの敬語じゃなくていいし」

「本当にごめん!」

…うん、切り替えが早い。
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