もう一度、最初から
やっと人の流れが落ち着いてきて、さーて掃除や品出しでも……という雰囲気になった。

あたしが外のゴミ箱とその回りを掃除するために、道具を持って出ようとすると千波ちゃんがトトトっと駆け寄ってくる。

「朱里さん、聞いてください」

「ん?なぁに?」

「…あたしの恋、実るかも」

「……へ?」

「まだ分からないけど、でも、いい感じなんですー」

「……だ、誰と?」

「て、ん、ちょー!!に、決まってるじゃないですか」

千波ちゃんが小声で、でもはっきりと聞こえる声で言っている……けど、話の意味が分からない。
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