もう一度、最初から
*****

「お疲れ様でしたーーっ」

千波ちゃんが、時間ぴったりにあわてて出ていく。

「今日は飲み会なんでーす!また明日ーっ」

明日はあたし、いないと思う。

て言うか、千波ちゃん自体がシフトに組まれていない。

簡単に「また明日」が口をついて出る、いかにも若くてかわいらしい千波ちゃんがちょっと眩しい。


夕勤の高校生とフリーターが入ってきたので、あたしもバックヤードから挨拶をして出ていく。

疲れたな。

店内で、目星をつけていた特製冷やし中華と、みかんヨーグルト、梅酒を2つかごに入れてレジを通す。

スーパーで、お惣菜と缶ビール買ってるサラリーマンと何一つ変わらない。

だけど、疲れた身体に鞭打って、お野菜たっぷりのご飯を作ったって、喜ぶ相手がいないのなら、全く意味がない。
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