もう一度、最初から
「……あんたまさか」

「そー。って、朱里さんが何を想定してるかわからないけど……浮気しちゃって」

「バカじゃないのー?!エノキのくせに!」

「ジャイアンかぜ、吹かせないでもらえます?」

「かわいい女子捕まえてジャイアンとか……」


何となく車内の空気が緩む。

気がつくと、外は見慣れない景色。

「ちょっと、寄り道で、ドライブしながら行こう。お腹空かない?」

「全然大丈夫」

足でそっと『特製冷やし中華』の入ったビニール袋を奥へ押しやる。

バカバカ、食欲旺盛なさっきまでのあたしのバカ!!!

車が、最近出来たコーヒーショップの駐車場に停まる。

ここら辺は田舎で、車があった方が便利な地域なのに、ドライブスルーがないなんて、と不評になりそうなお店。

「何か買ってくるよ。なにがいい?」

「じゃあ……ソイラテ。アイスの」

「サイズはでかいやつ?」

「なんでよ、普通でいいよっ」

笑いながらエノキが車から出ていく。
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