もう一度、最初から
「お待たせーーー」

エノキが何やら紙製の手提げを下げて戻ってきた。

「いやー、特注のソイラテ大変だったよー、バケツみたいな」

「バカじゃな……」

あたしの目の前に丁度よいミディアムの冷たいソイラテが差し出される。

「あ……ありがと」

「これ、もし食べたいのあったら」

紙袋の中には、キャラメルチョコチップスコーン、サーモンとアボカドのベーグルサンド、プラカップに入ったアサイーボウル……


エノキってばーーーー!

立派になって。
こんな、女子の好きそうな、尚且つほんのりお洒落感のある食べ物をセレクト出来る人になったのね。

スコーン食べたいけど、ぼろぼろこぼれるかな……

「ね、車内飲食禁止?」

「んなわけないじゃん。そしたら買ってこないよ」

「そっか……でも、食べかすとかで、誰か乗ったわね!!むきー!!って誤解されても困るじゃない?」

また、柚希はそんな子じゃないよ、って言われて凹むのが分かっているのに、ついそういうことを言ってしまう。


「……あー……」

……沈黙。怒った?

あたし、柚希さんがそんな人じゃないとは分かってるつもりなんだけど、つい言っちゃうんだよ……。
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