もう一度、最初から
「それからは、まぁ、穏やかにうまくいっていて……たまに柚希が荒れることはあっても、俺には覚悟が出来てたから」

「……か…くご……?」

「そう。傷つけてしまった柚希と、消されてしまったお腹の子のために、これからの人生を捧げるって」

「それって……」

「あ、それじゃまるで俺が全然愛情ないみたいだけど、違うから。好きなのも本当で、その上での覚悟ね」

そりゃ、そうだけど……

あたし、もう、聞いていられないよ。

どうしてエノキが怒ったのかも、わかった。

「わかったよ、エノキ。ごめんね。なにも知らなくて、変なこと言い出して。そりゃ怒るよね?大丈夫、あたしは、精神めちゃくちゃ安定してるし、なんせね、それなりにもてるから、どこへ行っても可愛がられるし、だいじょ……」

「違うんだよ!!!」

エノキの声が急に荒ぎ、思わずびくっとなる。
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