もう一度、最初から
「朱里さんには俺なんかよりずっと……」

「言わないで!!!!」

自分の発した声が、悲鳴のようで。


一番、聞きたくない台詞だったから……


「……ごめん」





思い出したくもないシーンが甦る。


『君には俺なんかよりも、ずっといい男が現れるよ』

そう言って、婚約者は去って行った。

『でも、あの子には俺しかいない』

馬鹿みたい。

あたしにだって、あなたしかいないよ。

あたしはそんなに強くない

あたしはそんなに……強くない。
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