もう一度、最初から
*その11*

*****

あのキスの次の日、あたしはコンビニのバイトを辞めた。

メールで伝えただけだったけど、すんなり了承された。

何ならまた、引っ越したいような気持ちだったけど、そんなお金はないから、とりあえずはアパートにいる。


エノキと最後に顔を見て話した会話が、車を降りる直前の

「その袋、何入ってるの?」

「……と、特製冷やし中華……」

「え?!」

「あと……みかんヨーグルトと…梅酒……」

「ま、じでーーーー?!」

というもので、爆笑されたのが、唯一の救い。

あたし達は、飲み友達位ならなれるかもしれない。


……そう思って、笑って。

手を振って別れることが出来た。

心配かけちゃいけないから。

エノキには、別の未来が待っているんだから。
< 155 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop