もう一度、最初から
今すぐ合流しても、なんか気持ちの整理がつかないし、約束の時間に合わせて出直そうかな……

と、そっとカフェに背を向けた時。

男の人が、小走りに来て、すれ違った。

まだ若そう。

ちょっとかっこいい感じの。




……なんとなく、振り返ると、その男の人は、柚希さんの正面に座るところだった。

柚希さんの表情は、さっきとはうって変わって、パァアと華やぎ、ゆったりとした、あたしの知っているあの感じ。


……なんだそれ?

遠目だからはっきりとはわからないけど、とても楽しそうな雰囲気は伝わる。

ごく普通のお似合いのカップル。

メニューの書かれた小さいボードを手に取り、二人で何やら話している。

あたしは、くら……と軽い目眩を覚えつつ、その場をそっと離れた。
< 167 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop