もう一度、最初から
「今からぐるっと回ってこいって」


「……は?」


「ぐるぐる回って、探してこいって」


「……誰を?」


「もしも、見つかったら、それが運命だって」


「……何言って……」


「誰も見つからなかったら、またあたしのとこに戻って来て、って言われて」


「…………」


「俺も、訳が分かんなくて。でも、柚希の目が笑ってなくて」


「…………」


「ご機嫌なのに、目が笑ってないんだよ」


「それで?」


「とりあえず、カフェを出て」


「出て?」


「捜す、って何だよ、誰をだよ……って思う間もなく、朱里さんの顔が浮かんで」


「そりゃ……あたしと柚希さんが今日会うって分かってて、あたしがその場に居なければ…」


「そういうんじゃ、ないんだよ」
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