もう一度、最初から
……じゃあ、どういうの???


あたし達の間を風が通り抜ける。


「なんて言うか……今、捜してる間、朱里さんの事しか考えられなくて……」


胸が苦しい。


「柚希の言ってた<運命>って言葉が頭を離れなくて……」


何を言い出すの?


「俺の中にいるのは、やっぱり朱里さんなんだよなって再認識しちゃって」


……そんな。


「柚希の言ってた『あたしのとこ』って、あのカフェに戻って来てとかそういうことじゃない気がして……」


全身で、全力で。

あたしは、エノキの言葉に耳を傾ける。


「俺、朱里さんを見つけることが出来たら、そしたら……許されるわけないのに、許されるような気がして」


え?


「て言うか。許されなくても。世界中を敵に回すことになっても、朱里さんを好きでいたい……って言うか」


「いや……それちょっと言い過ぎ……」
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