もう一度、最初から

漠然とした未来のビジョンしかなくて、ふらふらとしていたあたしと違って、那奈は将来の夢がしっかりとあった。


看護師になって、病気で困っている人の手助けをしたい。


何だか、よく聞く薄っぺらい理由のように聞こえるけれど、小学生の頃に父親を病気で亡くし、その時の、ナースの姿が忘れられない…と語る那奈の遠くを見つめる優しい笑顔は、とても眩しかったのをよく、覚えている。

先生達は大学進学を進めていたけれど、母一人子一人で、学費の負担もかけたくないし…等の、理由で、那奈は地元の看護専門学校に通った。