もう一度、最初から
一緒に派手に遊んでいたのに、那奈は地元に残って、看護学校に通い、就職して。

看護師なんて、安月給でこきつかわれるーってよく愚痴ってて。

あたしは、東京に出て大学に行き、就職して。

皆で集まったり、二人で遊ぶ度に、あたしは那奈に
『偉いね』『凄いね』

って言ってきた。

いや、それは勿論本心なんだけど。

でも、言葉が足りなかった。

『お金がかからないように、って制約の中できちんと道を見つけて頑張って』偉いね。

『都会での楽しい生活も知らずに、狭い世界の中でちまちまと楽しみを見つけて』凄いね。


…あたしは、心のどこかで那奈を見下していた。
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