もう一度、最初から
怖い。


怖い。


どうしよう、急に物凄く怖い。


こんなときに限って、誰もやってこない。


この人、誰?なんなの?



「……んだ…」


え?

男は、うつむいていて顔もよく見えない。

年齢…も、よくわからない。

服装は、もう梅雨が明けたところだと言うのに、全身黒で、しかも薄手のコートみたいなのまで羽織っている。そしてよれよれ。


髪の毛は無造作に伸びていて、お世辞にも清潔そうですねとは言えない。

「…ってたんだ」

ぼそぼそと喋っているけど、殆ど聞き取れない。


怖くて、身体が動かないし、聞き返そうにも、声が出ない。
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