もう一度、最初から
男が、さっきより顔を上げる。

…見たことあるような、ないような。


「…二人っきりになれるのを、待ってたんだ」


はっきりと、聞こえた。

サーーーッと血の気が引く音がする。


な、なに言ってんの?この人。

おかしいよね?

あ、もしかして、おかしい人??

真っ昼間のコンビニなのに…


頭の中で、落ち着け、落ち着けと繰り返す。

このまま、バックヤードの中を走り抜けて、カウンターに繋がってる方から出れば、そこから店の外に出て、助けを求められる。


男が、ごそごそとコートのポケットに手を突っ込む。


ま…さか………

キラ、と鈍く光るものが見える。


包丁?ナイフ?


え、嘘。

あたし、死んじゃうの…???
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