もう一度、最初から
気がつくと、あたしはバックヤードの隅っこに寝かされていた。

床の上に、潰した段ボール、ブルーシート、バスタオル…と重ねられた簡易布団のような状態。


「あた…し…」

段々と状況を思い出す。

目の前には、泣いてる吉田さんと、それをよしよしする千波ちゃんと、少し離れて山口君。

更に離れたところで、エノキが誰かと携帯で電話している。


「ごめんね、ごめんね。本当に。あたしが居れば、こんなことには…」

…と言ってからまた吉田さんが自分の言葉にウッとなり、泣き出す。

とりあえず、あの男は居なくなり、あたしは、助かった…のね?
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