もう一度、最初から
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「いたぁぁあい!」
病院の帰り、あたしはエノキの車の助手席で腕を押さえて悶えていた。
「ねーここの針異常に太くない?」
「朱里さんが痩せすぎなんですよ」
「………エノキダケに言われたくありませんけど…て言うかなんで敬語?」
「店長なんで」
「……今更何それ」
精密検査の結果、どこにも異常はなく、元々の貧血の酷さを指摘され、二時間点滴をしてきた。
何度も、帰っていいと言ったのに、エノキはしっかり待っていて。
安心すると同時に物凄く寂しくなる。
怖かった、と抱きついてしまいたい衝動にかられた自分がいたから。
そして、エノキには守るべき相手がいて。
あたしの立ち位置が、わかっているから……。