もう一度、最初から
「……そう?」

!!!
エノキ、みっともないくらいデレデレしてる!

勿論、分かってはいたけど……

ちゃんと、好きなんだね。

「か、かわいいよー!お人形さんみたいだし、優しそうだし、守ってあげたくなるタイプだよね!エノキには勿体ないくらい!!大事にしなさいよー?」

点滴した腕の部分をグッと、押さえたまま、止まらないあたし。

痛い


痛い



腕じゃなくて、心が痛い。


「大事には、してるよ勿論」


分かってるよ、もう止めてよ。

そう思うのに、あたしは、自分の傷をえぐるように畳み掛ける。

「あんなかわいい人、逃げられちゃうと大変だから、早く結婚しないと、あたしみたいになっちゃうよ?」
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