もう一度、最初から
「まあ、僕だけじゃなくて、殆どの男子は朱里さんに憧れてたんじゃないかと思うんだけど。綺麗だし、お洒落だし、目立ってたからさ」


運転中なので、しっかり真面目に前を向いているため、表情はよくわからない。

「…そんなこと、ないよ…」


「何言ってんの。他校の男子にも人気だったじゃん。そう考えると、高嶺の花の朱里さんとこうやって話せるなんて凄いな」


「……」


ぎゅっと、腕を押さえて、窓の外に目をやるあたし。

「あ、痛い?ごめんごめん、下らないこと言ってないで、早くちゃんと送り届けるからね」

エノキは何か勘違いをして、運転に集中し始めた。


よかった。

泣きそうなのが、バレてない。
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