不器用男子の告白の仕方。
数学の授業中。
あたしは意味不明な五十嵐の言動についてなんてすっかり忘れて、
また、あのラブレターについて考える。
このクラスじゃないとしたら…他クラス、ということもあるかもしれない。
他クラスの男子なんて、関わったことある人、いないけど…
でも、そもそも、今この現代に、ラブレターなんて古風な告白方法を選んでくる人だ。
しかも名前も書かずに、“好きだ”という三文字だけ。
もしかしたら…いや、きっと、ものすごくシャイな人なんじゃないだろうか。
話しかけることもできず、ただ、遠くから見つめているだけのような…
(どんどん話しかけちゃってくれていいのにー!!)
あたしは顔も分からない告白相手に向かって、そう言いたい衝動に駆られた。