不器用男子の告白の仕方。
「何度も言うけど、ブー子じゃなくて楓子だから!」
「聞こえねー」
「耳鼻科行け」
こんなくだらないやり取りもいつも通り。
でも、いつもと少し違うのは
…なんかあたしが、緊張してるってこと。
「五十嵐、何で今日、練習見に来いなんて言ったの?」
「…あー」
あたしの質問に、五十嵐は、なぜか少し頬を赤くしてそっぽを向くと
「…俺には、バスケしか、ねーからな」
「は?」
「だから…一番自信のあるとこ、おまえに見せようと思って……」
モゴモゴと喋る五十嵐は、一向にあたしの方を見ようとしない。
「…五十嵐、こっち見れば?」
「…やだよ」
「なんで?」
「…おまえ、うぜー」
「っぶ!」
顔をあげると同時に、タオルを投げつけてきた五十嵐。
「ちょっと、なに!?」
「…俺ばっかりでムカつく」
「はぁ?」
「…なぁ、いい加減気づけよ」
五十嵐が、タオルを持つ、あたしの腕をつかんで。
「答えは、すぐそばにあるだろ?」
そう言った。