不器用男子の告白の仕方。
「はやく部活がしてーなぁ~」
入学式当日。
真新しい制服に身を包んで、俺は高校近くの公園でバスケをしていた。
楽しみすぎて、早く来すぎた。
…ということで、暇つぶしだ。
パシュッ…
ボールがまるで吸い込まれていくかのように、ネットを揺らす。
この瞬間が一番の快感。
小3の時、ミニバスをはじめてから8年。
俺はずっとバスケに夢中だ。
練習すればするほど、うまくなっていくのが楽しくて。
高校も、一番強いここに、スポーツ推薦で入学した。
中学は、バスケ一色だった。
これから始まる高校生活だってもちろん、そのつもりだ。
全国レベルのここで、バスケするのがずっと楽しみだった。
新しい仲間と一つでも多く勝って、勝って
将来はきっと
プロに…!
ガコッ
「やべっ」
思いが強すぎて、力んでしまったのか
投げたボールはリングに当たって、見当違いの方向へと飛んでった。
なんだよ幸先、わりーな…
そんなことを思いながらボールを取りに行こうと振り向くと
「…新入生?」
俺と同じ制服に身を包んだ、知らない女の子が
足元に転がってきたボールを拾った。