不器用男子の告白の仕方。
「そうです…けど」
ヤベ、先輩か?
いや、それにしても、制服綺麗だよな…1年か…
なんて思っていると、
その子はボールを両手でクルクル回しながら
「もう入学式始まるよ?」
と言った。
「えっマジ!?」
やべぇ!バスケに夢中になりすぎて完璧忘れてた!!
慌ててカバンを持ちに戻ったら、チャックが開いてて持ち上げた瞬間、中身が全部飛び出した。
最悪だ。
俺は頭は悪いが決して不良キャラではない。マジメだ。
初日から遅刻なんてシャレにならねー…!!
必死でカバンの中身を詰めていると
「ねぇ!」
不意に声をかけられた。
「何…おわっ!」
振り向いた瞬間、飛んできたボール。
「あっぶねぇな!」
なんとか顔面スレスレでキャッチ。
そんな俺にその子は声をたてて笑うと
「遅刻仲間、だね!」
フワリ、と微笑んで
桜の中を、走って行った…