不器用男子の告白の仕方。
告白1
翌日、朝練を終え教室に入ると
高木と何やら盛り上がっているアイツを見かけた。
…もう、あのラブレターは見てるんだよな…。
ドキン、と尋常じゃないくらい高鳴る心臓。
なっなんだよコレ、試合の時でもこんなに緊張したことねーぞ!?
もしかして死ぬんじゃないかという危機感を覚えながら、俺はとりあえず、いつも通り…
アイツに話しかけてみることにした。
「よぉ!ブー子!」
ズシンッと肩に肘をのせ、体重をかける。
「バカ五十嵐!
あたしは楓子であって、ブー子じゃないっ!」
はは、懲りずに言い返してくるんだよなぁ、毎回…
そんなとこも好きだ!
「そうだっけ?」
「そうだよっ!ってか毎朝毎朝ウザイ!」
ウザイ…
こいつ…このなんでもない言葉に、俺がどんだけ傷ついてんのか…知らねーだろ。
俺は意外と繊細なんだぞコノヤロー!
だいたいな、
「おまえが、俺の視界に入ってくるからだろ?」
俺の目はもうそーいう風にできてんの。
つーか…
この分だとまだ、ラブレターの差出人が俺ってことには
全く気付いてないみたいだ。
ま、いいさ。
俺だって人一倍鈍感なコイツが、そんなすぐに気付くとは思ってない。
「お、室谷~」
とりあえず一回撤収だ。