不器用男子の告白の仕方。
「えぇ?やだよ。ずっと前から約束してたもん。
それにお姉ちゃん、仕事忙しくてあんまり休みないし」
「俺の大会は一回しかないんだぞ!!!」
「県大会くらいで大袈裟な…
あっじゃぁ、関東大会は応援行くから!もちろん余裕でしょ?県くらい」
「そういう問題じゃねー!
もう知らねー!ブー子のバーカ!」
「はぁ!?っていうかブー子じゃないしっ!!」
あーあ、またやってるよ。
ほんと飽きないよな。
まぁ見てる方も
飽きねーけど…
「…おい何笑ってんだよ、室谷!」
予想通り不機嫌そうな顔で席に戻ってきた五十嵐が、更に不機嫌になって、俺を睨む。
「いや~、いつ見ても面白いなぁと思って。お前らの夫婦喧嘩」
「ふっ…夫婦じゃねぇ!!!!」
顔を真っ赤にして、クラス中に響き渡るくらいの大声で叫んだのは五十嵐大矢。
かなり一途で、かなり純情な奴。
バカだけど、バスケはうまいし、ルックスもまぁまぁだからそこそこモテる。
でも、バスケ一筋だった五十嵐が、はじめて夢中になった女の子―――長澤楓子。
最近五十嵐は、ようやくこの長澤に告ることに成功したのだが―――
「ま…まままだ早ぇよ!夫婦とか!!」
…どうやら、付き合ってはないらしい。
でも、誰がどう見ても、もうコイツらが両想いなのは一目瞭然で…
「つーかアイツ、俺の試合応援これないって…!
今まで何の為に練習してたのか分からねー!!!」
机に突っ伏し嘆く五十嵐。
なかなか女々しい。