不器用男子の告白の仕方。
「ブー子じゃなくて楓子!」と律儀に前置きしてから
「…あのさ」
なんだか言いずらそうにモジモジしている長澤。
「…なんだよ?」
気になって仕方ないのに、何でもない風を装っている五十嵐。
コイツは演技がド下手くそなことに自分で気付いていない。
「…日曜、応援行くから」
その瞬間、五十嵐の顔がパァッ!と輝き
「……そーか!ま、好きにすればァ」
…コイツ…つい今までショックで死にそうになってたくせに。
しかしニヤける口元は全く隠せてないけどな。
「お、お姉ちゃんと買い物は、いいのかよ?」
「うん…まぁ、お姉ちゃんとは、またいつでも行けるし。
県で負けて、後であたしのせいだ!とか言われても困るからね!」
すると五十嵐は、ニッと笑って
「…負けるか、バーカ。
仕方ねーから連れてってやるよ、全国!!」
さっきまでの白い灰・五十嵐の姿はもうそこにはない。
…ほんと、単純な奴。
「絶対連れてってやるから…
だから、つ、ついて来いよ!!!」
「…えっらそうに」
そう言いつつ微笑む長澤は
とても、幸せそう。
……まぁ、いっか。
コイツらにはコイツらのペースがあるみたいだし。
傍観者は、黙ってベンチで
見守ってることにしよう。
☆おまけ 終