もう一度
「な、高瀬先輩何してるんですか⁇」
高瀬先輩がいた。なんて神出鬼没なんだろう。
「何って通学だけど」
「あー、いやまぁそうなんですけど」
ごもっともな答えにあたしは少し弱くなる。
「てか、何その難しそうな本」
先輩はあたしの本を覗きながら言った。あたしの本は確かに中1が読むには難しいかもしれないけど…
「これ、中3の課題図書ですよ⁇」
そう、中3の高瀬先輩には難しいはずがない。課題図書というのは学年ごとに分かれてて、お勧めの本のこと。
「嘘?俺、本嫌いだから分かんね」
「ダメじゃないですか。これお勧めですよ。おもしろいです。」
あたしは本の表紙を見ながら言った。
「ふーん…」