もう一度
高瀬先輩はそう言うと、寝てしまった。なんなんだろう。寝てるとすごく幼く見える。
「かわ...」
あたしは急いで口を閉じた。かわいいなんて言って、もし先輩が起きてたら絶対からかわれる。
結局降りる駅に着くまで先輩は起きなかった。
「おはよー」
亜琉愛を見つけたあたしは声をかけた。
「あ、涙おはー。何その顔ー⁇」
亜琉愛はニヤッと笑いながら、顔を覗き込む。
「その顔って⁇」
あたしはコテンと首を傾げた。
「幸せそうな顔してるなあって。何、電車にイケメンでもいた⁇」
あたしは目を見開いた。そして勢い良く首を横に振った。
「あはは、そんな否定しなくても。イケメンいたら紹介してね」
語尾にハートがついてそうなトーンで言われた。