もう一度


次の日、電車にまさかの高瀬先輩がいた。

なんで、いるんだ?先輩が乗る駅まだだよね…

あたしは近くないけど見える距離にいた。
席に座って、本を読む、ふりをする。視線はちらっと高瀬先輩を捉える。

また寝てるし…まったく相変わらずかっこいいですねぇ〜。

と、そんなことを思ってると先輩がぱちっと目を開いた。

やばっ。あたしはさっと視線を本に落とした。必死に文字を読むけど、何度も何度も同じところを読み返してる。頭に言葉が入ってこない!

「涙」

必死に文字を読んでると、頭の上から声が聞こえた。顔を上げると真上まで見るまで高瀬先輩だと分からなかった。

あまりにも真上だったから、

「でか…」

そう零してしまった。すると先輩はツボにはまったのか、一生懸命、笑いを堪えてた。
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