もう一度
ボールは先輩に回ってくる。いつものふざけている目じゃなくて、本気の目。
でも別に、真面目な顔をしてるとかそうじゃなくて、すごく楽しそう。
かっこいいのに、かわいいって…先輩は罪な男だなと思う。
そして先輩は3回ゴールを決めるとこちらに戻ってきた。
「あれ、疲れたんですか⁇」
あたしがそう言うと、まさかと笑った。少し汗をかいてる先輩は色っぽい。
「で、ド下手だった⁇」
芝生に胡座をかいて下からあたしを見る。なんか変な感じ。
「いや、上手かったです。すごく。かっこよかったですよ。」
思わず口にでた言葉を後悔して、先輩を見ないで口を開いた。
「普段だるそうにしてるのにギャップってすごいですよね。ほら、あの1年のハルって奴もギャップ半端ないです。」
ごめんハル。また使っちゃった。許して。なんて思ってると、先輩が、
「あいつうまいな」
となんとハルを褒めた。
「いや、まぁ普段寝てますけどね。サッカーやってたらしいですよ」
へぇ〜、と興味なさそうな先輩。意味わからん。
あたしはそれじゃと言ってテントに戻った。