もう一度


ボールは先輩に回ってくる。いつものふざけている目じゃなくて、本気の目。
でも別に、真面目な顔をしてるとかそうじゃなくて、すごく楽しそう。

かっこいいのに、かわいいって…先輩は罪な男だなと思う。

そして先輩は3回ゴールを決めるとこちらに戻ってきた。

「あれ、疲れたんですか⁇」

あたしがそう言うと、まさかと笑った。少し汗をかいてる先輩は色っぽい。

「で、ド下手だった⁇」

芝生に胡座をかいて下からあたしを見る。なんか変な感じ。

「いや、上手かったです。すごく。かっこよかったですよ。」

思わず口にでた言葉を後悔して、先輩を見ないで口を開いた。

「普段だるそうにしてるのにギャップってすごいですよね。ほら、あの1年のハルって奴もギャップ半端ないです。」

ごめんハル。また使っちゃった。許して。なんて思ってると、先輩が、

「あいつうまいな」

となんとハルを褒めた。

「いや、まぁ普段寝てますけどね。サッカーやってたらしいですよ」

へぇ〜、と興味なさそうな先輩。意味わからん。

あたしはそれじゃと言ってテントに戻った。
< 48 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop