不稔華
芽吹き
初めて貴方に会ったのは16の秋と冬の間のある日だったよね。
貴方は17で、フワフワした水中花の様な掴み所の無い人でした。


私は初めて貴方と会った筈なのに、懐かしさと貴方の回りに纏った柔らかい空間に抵抗できなかった。


初めて貴方と言葉を交わした時、その声は私の耳に何時までも心地好い余韻を残し、脳裏に焼き付いて記憶された。



貴方に夜の風の香りを教えて貰いました。
夜の風が香る度に今でも貴方を思い出します。




貴方は何時も笑顔を浮かべて隣に居てくれました。
私はそれがとても居心地良かった。
仲間の和の中でも私達は黙って二人
隣で居ました。





只1つ。
貴方には恋人が居た。
貴方は私に聞きましたね。
『彼女がよりを戻したいと言っている。どうしたら良い?』と…。




私は素直になれず想いとは反対の言葉を貴方に言ってしまった。



もし、あの時素直に言っていれば違ったかな……?





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