不稔華
貴方は私に沢山の事を教えてくれました。
人を愛するよりも深い感情が有ることを…。


愛は愛より深く、そして愛を越えた先を私に見せてくれました。


それは時に誰かを傷つける。
それは時に苦く。
切なさを募らせ深海の碧よりも深い深い光さえ射し込まない暗闇に漂う気持ちにさせた。




それでも、私はその深海に居続けました。
貴方はそんな私を見捨てず手を差し伸べてくれた。



でも、抱き留めてはくれなかった。
私もそれ以上を求めなかった。
二人の行き先は誰にも解らない。
それでも、二人は放れられなかった。




ううん。
私が放れたくなかったの。
見返りなんて要らないの。
私はただ貴方の側に居れただけで
充分満たされていたの。




私の想いはあの深海の海に沈めたまま。
誰にも触られなくなかったから。
私だけの想いだから。




貴方は私の気持ちに気付いていた。
でも、笑みを浮かべるだけ。
淋しそうに笑みを浮かべるだけ……。





何で?









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