冷凍保存愛

 コーヅは部屋の真ん中に立ち、腕組をして考えていた。

 二部屋しかないこの家の中に隠し部屋やどこかへ通じる扉なんてものはない。

 ふすま一枚で仕切られているここはきっと夜には布団がしかれるんだろう。

 強羅が今いるところは台所だ。

 そこにはテーブルが置かれていてその上には食材や調味料、そんな中に混じって学校でもらったプリントがきれいに並べられている。

 無造作にじゃなく、きちんと整理整頓されていて、こぎれいにさえ見える。

 しっかりした性格なんだろうか、部屋の中も掃除が行き届いていてすっきりしている。

 長屋の外見は古くくたびれているけれど、この家の中はそんなことは微塵も感じさせない。

 ここには兄妹二人でしか暮らしていないんだろうか。

 置いてあるものが二人分しかなかった。

 隠し扉もなければ地下へ続く道もない。

 押入れの中も綺麗に片付けられていて人を監禁しているような雰囲気はなかった。




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