冷凍保存愛
ただ、部屋の片隅に虫かごが無造作に置かれているのが不自然だった。
大中様々な大きさの虫かごが無数あるのは誰が見てもおかしいところだ。
「ねえ、この虫かごってなんでこんなにあるんだろう」
コーヅは座って出された飲み物をおいしそうに飲んでいる強羅に虫かごを指さしながら聞いた。
「おい小堺、お前んちってなんでこんなに虫かごあんの? なんか採集とかしてんの?」
台所に立ち、何か作り始めていた小堺は、強羅の声にぴくりと肩を動かし、動きを止めた。
「い、いや、別にそれはなんでもない」
顔を少し横に向け、なんでもない風を装った。
「いや、おかしいだろ。なんでもないのにこんなに虫かごがあるわけないだろうが。隠してないで教えろよ」
「別に隠しているわけじゃ」
「俺だってモンシロチョウとか採るんだから、興味あんだよ」
コーヅは目を丸くして強羅に目で何かを言う。が、当の本人はなんのことやらさっぱりだ。
反対に小堺は振り向き、まじまじと強羅を見据えてきた。