冷凍保存愛

「で、もう帰るの？　せっかく今お湯が沸いたから紅茶でもと思ったのに」

　指をさした台所のテーブルの上にはティーカップが４つ。

　コーヅと強羅はゆっくりと視線を合わせ、息を飲んだ。

「何、なんか迷惑なことした？　せっかく寄ったんだからと思って飲み物のひとつくらい出そうかなと」

「だったらいいけど。俺等が無理言って邪魔してんだから気を遣うのはこっちだよ」

　強羅はお礼を言うと、玄関の方へ歩いた。

　玄関を出るときにもう一度振り返り小堺の顔をよく見た。

　前髪は目にかかるくらい長く、小堺本人の雰囲気だっていいものじゃないけど、悪いことをするような奴には到底思えなかった。

　しかし、悪いことをする奴を顔だけで判断するのは間違っていると最近のテレビニュースを見て感じていることなので、自分の判断に全てを委ねるのだけは止めようと強羅は考えた。