冷凍保存愛
しんと暗くなった空気を換えるようにコーヅは、
「だってせっかく来てあげてるのにお茶の一つも出してくれないし。お菓子もないしさ。僕歓迎されてないみたいだし? 喉も乾いたしね、帰るよ」
「……お前って野郎はよ……」
握りこぶしを作るが顔は笑っていた。
「うそうそ、じゃ明日」
「おう」
立ち上がり背伸びをしてあくびをし、玄関に向かうコーヅの背中に向かって疑問に思っていることを口にした。
「お前さ、制服しかないわけ?」
「……そうだね。なにか問題でも」
「ない」
「そ」
「悪かったな」
「なんで謝るの? おもしろいね」
「面白い話なんて何もしてないけどな」
「君はそこにいるだけで面白いよ。大きいし」
「体は関係ねえわな」
「僕もラグビーやってりゃよかったかな」
「……」
いつも通りとびきりの笑みを強羅に向けると、手を上げて玄関から出て行った。