冷凍保存愛

 気は進まないものの、早く探し出せばここから帰れると思えばこその行動だ。

 羽都音は小田原のデスクの中をこの前ここに来た時と同様に探り出した。

 その間に道子はざっと辺りを見回し、校長室に目をとめた。鼻歌を歌いながら校長室の扉を開けようとしたが鍵がかかっていた。

 ちらりと羽都音をうかがうと、なんだか楽しそうに机の中を捜索していて道子には気づいていない。

 なんだ、なんだかんだ言って楽しんでるじゃん。

 あいつも一皮脱いだら化けるタイプだね。と勝手に思いつつ、手は器用に校長室のドアの鍵穴へ向かう。

 どこから出したのか鍵を差し込み、カチッと音を立てて回した。


「よし、さすが私」


 羽都音が気づかないうちにこっそりと中へ入りドアを閉めた。


 ペンライトは必要なかった。窓側に面してるこの部屋は月明かりが差し込んでいて明るい。

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