冷凍保存愛

 窓を背にしてこちらを向いている机の元に、辺りを確認しながら近づき、机の上を手でなぞる。

 ふかふかの椅子に座り左右に揺れてみたり、映画の中のワンシーンみたいに机の上に足を投げ出してみたりした。


「なんか、私こういうの好きかも」


 なんの音も立てずに揺れる椅子は高いものなんだろうと高校生の道子でも分かった。

 引き出しは不用心にも鍵はかけられていない。

 ただ、一番下の引き出しだけは鍵がかけられていた。

 ここには何かある。と、直感。

 椅子から飛び降りるように降り、膝まづいて引き出しをそっと引いた。

 やはり鍵がかかっていて開かない。

 引き出しの底や机の下側などに手を入れ、隠しキーがないか探るが、どこにもそれらしきものは無い。


「仕方ない。これをやるしかないか」


 道子はいざという時のために用意してきたピッキング用の道具をポケットから出し、鍵穴に差し込んだ。



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