冷凍保存愛

 二人は校長室のデスクの下に入り、息を殺す。

 直後、職員室の電気がつき、守衛が慌ただしく入り込んできた。一人じゃない、二人いる。

 誰かいるのは分かってんだぞ! と、声を張り上げているが、二人はもう逃げる場所がない。校長室の窓から飛び降りるわけにもいかない。高すぎる。

 守衛が校長室の前に立ち、もしかしたらここに逃げたのかもしれないと話はじめ、やばい、見つかるかもしれないと思う羽都音とは別に道子は何の心配もしていないように見える。

 校長室のドアを回す音ががちゃがちゃと聞こえるが、開くことはない。

 ここの鍵は特定の人たちしか持っていない鍵でもある。守衛では開けることができない。

 この中にはいない。もしかしたらもう逃げたのかもしれないなという話声が聞こえ、守衛はまた慌ただしく職員室から出て行った。

「あっぶねー」

「じゃないよ道子、ここからどうやって出る?」



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