冷凍保存愛

 コーヅと強羅が出かけてから羽都音は強羅の部屋をくるりと見回した。

 留守番をしながら道子の電話を待つだけなんだから一人だと暇だ。

 久しぶりに来る強羅の部屋は昔とはまったく違っていた。

 確か、子供の頃は戦隊物のポスターや漫画本、カードゲームなどがたくさんあって汚かったが、今はこぎれいに片付いていた。

 相変わらず漫画本は山積みになっているが、そのほかにも、自己啓発本や参考書、問題集など勉強に関係するものが大半をしめていた。

「なんか、変わったなー。子供の頃が嘘みたい」

 本棚をじっと眺めている羽都音の目に止まったのは昔のアルバム。

 赤いアルバムに惹かれるように手を伸ばし中を開けると、そこには幼い頃の強羅と羽都音の遊んでいる写真やお祭りのときの写真など、思い出がぎっしりと詰まっていた。

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