冷凍保存愛

「おい、校長室鍵かかってんぞ」

 強羅は昼間の学校に堂々と乗り込んで、これまた堂々と校長室の前に立っている。

「兄ちゃん、用事終わったら声かけてね。守衛室にいるから」

「あいよ」

 強羅は校門のところにいる守衛に「この学校に転入してきたんだけど今日来いって言われてるから、入るよ」とでっちあげた話をして正々堂々と入った。

「君、そういうところだけは頭回るよね。それで入れてくれる守衛さんも守衛さんだけど」

「え、今なんか言った? うっすら聞こえたけど聞こえなかったことにするわ」

 ま、いいけど、とコーヅは笑い、おもむろに校長室のドアに手をかけ、回す。

「はい、開いた」

「お前ってほんと、こえーよな」

「今更?」

「なんだそれ、いいからちゃっちゃと片付けようぜ」

 二人は校長室の中に入り、目の前の机に狙いを絞って引き出しを開けて中身を確認していった。



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