冷凍保存愛

 最後の引き出しだけ鍵がかかっていて開けられない。

「ほら、コーヅ先生、あんたの出番だよ。ここが怪しい」

「言われなくても」

 鍵のところに手をかざし、なんなく中を開ける。

 そこには茶色いファイルが陳列されていて、その中のひとつを覗くとこの学校にいるすべての先生の個人情報のファイルが管理されていることに気付く。

「てかこんなとこにしまってるだけかよ。もっとこう鍵とかかけなくていいのか?」

「案外無用心だよね。でも、道子ちゃん、もしかしたらこの中の何かを見たんじゃないかな?」

「じゃ、これを片っ端から探すってわけか。時間かかるぞ」

「いや、それは必用ないかも。これ見て」

 きれいに並んでいるファイルの中にひとつだけ中の紙が少し飛び出しているものがある。

「きっとこれだ」

「誰のだよそれ」

 ファイルを引き出し、紙を上から目で洗う。

 最初に書かれている名前を見て二人は同時に顔を見合わせた。


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