冷凍保存愛
「夏だねえ、今年もまたこんなに暑い。でも夏っていいよね。いつも笑顔になれる」
「にしても今年は暑すぎない? 毎年毎年暑くなってる気がする」
「あははは。冬生まれだもんね代々木君。仕方ないよ。暑いっていえば、来週のキャンプ楽しみだね。きっと今日より暑いよね。私日焼け止めたくさん持ってかないとすーぐ真っ黒になっちゃいそう」
「キャンプかー、楽しみだね。俺も日焼け止め持ってくわ」
「だね。痛くなっちゃうし」
「日焼けはそのあとが嫌なんだよね。てかまだカブトムシとかいるかな」
「代々木君、虫好きだもんね。いっぱいいるんじゃない? クワガタもいるかも」
「やっべえ、楽しみになってきた」
「ねー!」
あたみと代々木は公園の中、木陰に置かれているベンチに並んで座び、同じようにハンカチで汗をおさえている。
二人は同じ学校の同じクラスだ。
付き合うきっかけになったのはたまたま隣同士になったからというなんてことないきっかけだった。
まだ学校に慣れずにみんなが浮わついている頃のことだ。
おっとりとしていてほわっとしている。話してみても柔らかい雰囲気のあたみに代々木は一目惚れだった。
見た目人懐っこそう、話してみても思った遠り優しい。
なんだかんだ思いやってくれる。そんな裏表なく安心できる代々木にあたみもまた一目惚れだった。
最初はなんとなく気があって楽しいくらいだった。
それが徐々に日がたつに連れお互いがお互いを特別な存在として見るようになっていった。