冷凍保存愛
それからというもの、学校帰りに一緒にカラオケに行ったり買い物に行ったり、
休みの日にはこうやって公園で話をしたり、お互いの家に行ったりと徐々に関係を深めていった。
その中で少しずつ絆も出来上がっていった。
どちらかが体調が悪くて学校を休めば必ず学校帰りに寄って様子をみたり、
なにか辛いことがあれば隠さずに打ち明けて二人で一緒に解決していこうとした。
テスト勉強もまた同じ。
数学が弱いあたみは難しい問題が解けずに投げ出すときもあり、そんな自分自身にイライラしてしまうこともあった。
そんなときは代々木が自分の勉強をやめ、根気よくじっくりとあたみと向き合って理解するまでつきあったりした。
「あたみちゃんはさ、高校卒業したらどうしたいの?」
ベンチに座って買ってきたジュースを飲みながら代々木があたみに聞いた。
「んー……私はこどもがすきだから幼稚園の先生になりたいな」
「幼稚園の先生か。いいね。あたみちゃん優しいしこどもたくさん寄ってきそう」
「そうかな。だといいな。代々木君は?」
「俺? 俺は大学に行きたいかな」
「だよねー。代々木君は頭いいからどこでも行けるよ」
「できればどっか近場の工学部を受けようかなって思ってる」
「なんで近場の? いいところ行けるよ」
「いいんだよ。それにほら、遠くに行かなくてもさ、勉強する内容は同じだし。それなら近くのほうが何にしろいいよ」
「そうなんだ。知らなかった。工学部とか、聞いただけで私には無理だな。数学弱いもん」
「それ言ったら俺だって幼稚園の先生は無理だよ。こどもの扱いとかってわかんないし」
あたみちゃんがいるから近場のとこに行くんだよ。ってことは伏せた。
そんなことを言ったらきっと彼女は気にしてしまう。