冷凍保存愛
意識が戻ったのと同時に飛び起きた。
まわりを見てもここがどこなのかさえ分からない。
見たこともない部屋の中だ。
この部屋の中には今寝かされているベッドしかない。
近くに箱状のものが数個置かれているが中身は分からない。
かけられていたブランケットを剥ぎ取り、足を床に落とせば冷やりとした。
ここは四角い部屋の中だ。
ベッドは部屋の一番奥に置かれている。
正面にはドアがある。そこから出ればコーヅ君がいるんだろうか。
羽都音はそんなことを考えながら足音を立てないように部屋の中を扉に向けて静かに歩く。
相変わらず体は揺れていた。
「……て。お……」
頭の中がぐらりと揺れた。
視界が歪む。眩しい。目を細める。
「起きて」
誰かが呼んでいる声が耳の奥に聞こえる。
眩しい。
「真鶴さん起きて」