冷凍保存愛

 飛び起きた。


「ゆめ?」


 私のことを真鶴さんと呼ぶのはあまり親しくない友達だけだ。

 ベッドの上。

 違う。

 座っている。

 私のすぐ横には……





「小堺……君」




「良かった。このまま眠られてたら僕の計画が台無しになる、さ、起きて立ってくれる? 時間がないんだ」


 小堺は羽都音に手を差し伸べる。

 羽都音の頭の中にコーヅの顔が浮かぶ。


「コーヅ君は?」どこ?

「……コーヅ? なんで、それを……、っっ、誰それ。知らないな」

「私、いまさっきまで一緒にいた。違う学校の制服を着た男子だよ。いたでしょ?」

「……ああ、薬、ちょっと多かったか。君は夢をみていたんじゃない? 君は今まで僕としか一緒にいなかったよ。無論、僕が君を眠らせたんだけどね。さ、そろそろ立てると思うけど。行こうか」

「行くってどこへ?」




「……未来」




「……な、に言ってるのか分からない。未来ってなに?」

「そこで君は永遠に生きられる、そんなところ」

「ねえ、小堺君、何言ってるの? ぜんぜん分からないよ。永遠に生きられるなんてこと、ないよ。それに、道子は? 強羅は?」

「彼等はもう眠らされてるかもしれないね」


 息を飲んだ。

 羽都音には小堺の言っていることばが全く理解できなかった。

 ただ、今の自分の状況を考えたらよくない方向へ向かっているのだけは確かだった。

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