冷凍保存愛
道子と強羅はまだ小田原の運転する車の中にいた。
二人はなんとかここを抜け出そうと小田原のすきをうかがっていた。
車は住宅街の中に入り込み、スピードを落とし始めた。
逃げ出すなら今しかない。
しかし内側からはドアは開かないようになっている。
なんとか助手席に移動するか、小田原を車の外に出すか、どちらかしか二人が脱出できる方法は残されていなかった。
「山際君、君はもう気づいていると思うけど、君たちをあんなところに閉じ込めた犯人のことについてだけど、」
「……」
「まったく気づかないかい? よく考えてみて。ほら、君のノートが無くなった時があったろ? 覚えてるだろ?」
「……っ。まさか、小堺が犯人だっていうんですか? だってあのとき先生は私に」
「君のノートを拾ったと言った。持ち主を特定するために中を見た。そこで、小堺のことを調べたものが書かれていたのを知った。これは個人攻撃するために調べたものと特定できる。
そんなことをする生徒は学校に報告しなければならない。
しかし君はジャーナリストになりたいという夢がある。それを摘むことはしない」
「これ以上調べないことを約束に先生は私を許してくれた」
「その通りだ」
「でもなんで小堺なんですか。あいつには動機がなさすぎます」
話を聞いていた強羅も眉をしかめた。
小堺のことを調べてみたが、あいつがそんなことをするようには思えなかった。
それに体力だってそんなあるようには思えなかった。